人は構造に従う  〜行政サービス施設の物語〜

人は構造に従う
〜行政サービス施設の物語〜

組織の課題は、多くの場合「人の問題」として語られる。

やる気がない。
責任感がない。
主体性がない。

しかし、同じ人でも場所が変わると振る舞いが変わることがある。


この施設も例外ではなかった。

当日欠勤が多く、定着率も低かった。

忙しい日は人が足りず、静かな日は空気が重い。

現場の問題は、人の問題として語られていた。


しかし、変えたのは人ではない。

構造だった。


指揮命令系統を一本化する。
根拠のない慣習を整理する。
報酬の在り方を昇華する。

特別な理論ではない。

どれも、古くから知られている原理だった。


組織には目に見えない力が働いている。

古くから、法・勢・術と呼ばれてきたものだ。

法はルール。
勢は指揮命令。
術は人間心理。

人は、その三つの力の中で動いている。


そしてもう一つ、重要な変化があった。

人の振る舞いを見る視点が、少し変わった。

自己責任を、深く理解すると人にイライラしなくなる。

なぜなら、人の行動の多くはその人の性格ではなく、置かれている構造の影響だからだ。


ここには一つのパラドックスがある。

人を変えようとしなくなるほど人は変わる。


力の使い方が変わると、現場の風景も変わる。

欠勤は減り、離職も減る。

同じ職場でも働き方は大きく変わる。


変わったのは、人の能力ではない。

人の性格でもない。

変わったのは、構造だった。


では、どんな構造が人の動きを変えるのか。