市場は突然広がる
〜学習塾運営会社の物語〜
市場拡大は需要創造として語られることが多い。新しい顧客を見つける。
新しい商品を作る。広告を増やす。
そうした取り組みの積み重ねで市場は広がると考えられている。
市場が広がる瞬間は、必ずしもそうではない。
この会社も、もともとは地域の学習塾だった。
商圏は地図の上で決まっている。
そう考えられていた。
教室の近く、通える範囲、紹介で広がる範囲。
市場とはその程度のものだと思われていた。
しかしある変化が起きた。
特別な商品を作ったわけではない。
広告費を増やしたわけでもない。
動かしたのは、すでに持っていた資産だった。
すると、それまで見えていなかった市場が突然現れる。
商圏が広がる。顧客の範囲が変わる。
市場は地図の上ではなく、構造の上にある。
市場が広がるとき、起きているのは顧客の変化ではない。
需要の変化でもない。
多くの場合、変わっているのは構造だ。
同じ商品でも届く場所が変わる。
同じサービスでも意味が変わる。
すると、それまで存在しなかった市場が突然現れる。
市場はゆっくり広がるとは限らない。
ある瞬間、境界が動く。
そしてそれまで常識だった商圏は意味を失う。
では、市場の境界は何を動かすと変わるのか。
