まずは、ブランド戦略の第一歩として
「知覚価値」を細かく分けて見ていきましょう。
まずは
ブランドの象徴的な顧客像
必ずしも顧客層の大半を占める必要はありません。
例えば、プラダの象徴的な顧客像がハリウッド女優だとして、顧客像の大半がハリウッド女優というわけではありません。
ハリウッド女優やセレブに憧れるちょっとお金を持った一般の人が顧客の大半ですが、それらの人々を引きつける役目が象徴的な顧客像です。
つまり、象徴的顧客像に愛用されれば、自然とそれに憧れる一般層も引き込むことができます。
他にも、「Apple」の製品であれば、クリエイティブなライフスタイルの人が顧客層です。
Apple製品を使っているとクリエイティブがあるので、そのイメージに憧れるクリエイティブなライフスタイルではない多くの人を巻き込むことができます。
こういった象徴的な顧客像を明確にしてそれをターゲットに戦略を展開していきます。
次に
インサイト
これは象徴的な顧客のホンネのことです。
象徴的な顧客が本当に求めていることを洞察して、そのための価値提供を行っていきます。
そして、象徴的顧客層に提供する
コアバリュー
つまりメインとなるサービスや商品のことです。
そしてそのサービスや商品がもたらす
ベネフィット
これは物理的なメリットや心理的な優越感など、そのブランドのサービスや商品を手にすることで得られる具体的な価値を創ります。
最後は、
エビデンス
これはベネフィットの論拠のことです。
なぜ、そのサービスや商品は象徴的な顧客層がホンネで求めているベネフィットを提供できるかという論理的な根拠を用意します。
これらの関係性を具体例ですると、
例えば、
①象徴的な顧客層
ダイソンの掃除機のターゲットは経済的にゆとりがある裕福な家庭です。
ですから価格も掃除機にしては高額です。
②インサイト
そのターゲットはいつも家を綺麗に保ちたいと思っています。
そのためにいつまでも吸引力が落ちない掃除機を求めていると洞察します。
③コアバリュー
吸引力が変わらないただ一つの掃除機
という商品が創られます。
④ベネフィット
いつまでも快適に掃除ができるため、部屋を綺麗に保てる。
⑤エビデンス
それが可能なのはダイソン独自のサイクロン方程式があるため。
表面的なモデルチェンジはあったとしても、ダイソンのこれらのブランド戦略は常に一貫しています。
だからこそ顧客の信頼を得ることができ、ブランドを確立しているわけです。
今回はその中でも「ターゲット」に重点をおいてお話します。
ターゲットを絞ると言うと「お客さんが減ってしまう」と心配してしまう方もいるでしょう。
そこでターゲットを2つに分けて考えてみましょう。
まずは「ブランドターゲット」。
これは前述の象徴的な顧客層のことです。
ブランドイメージを牽引して、多くの顧客層を呼び込むためのシンボルが必要です。
だからと言って、この層だけ狙ってビジネスをしてしまっては売上は最大化しません。
もう一つのターゲットが「セールスターゲット」。
こちらは、売上を最大化するための拡販対象となる顧客層です。
先程のプラダの場合であれば、ハリウッド女優やセレブに憧れる一般の人たちのこと。
ハリウッド女優は少数ですが、ハリウッド女優やセレブに憧れる一般の人はたくさんいます。
だからと言って、プラダの広告やCMなどでセレブに憧れる一般人を起用したらブランドイメージは崩れます。
ですから、多くの人に訴えかける宣伝では「ブランドターゲット」を前面に出す必要がありますが、実際の店舗での接客販売やDMやメールなどでのアプローチの時には、「セールスターゲット」向け、つまりセレブに憧れる一般人のためアプローチに変える必要があります。
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