市場の定義

社会科学

市場の定義という言い方をすると難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言ってしまうと

誰が競合なのか?

を考えることです。

例えば、居酒屋を経営している場合、もちろん同じ営業形態の居酒屋や競合です。

その他に、同じ食事を提供するという点で、ファミレスや焼肉屋やイタリアンバルなどは競合なのか?

同じお酒を提供するという意味では、オーセンティックバーやカラオケバーは競合なのか?

あるいは、平日の仕事終わりに時間とお金を使うという意味では、カルチャースクールやスマホゲームは競合なのか?

実際、若者がお酒を飲まなくなった分、スマホゲームに課金をしていたりもしますので、居酒屋とスマホゲームは一見競合関係ではなさそうですが、可処分時間や可処分所得を奪い合うという意味では、競合と解釈することもできます。

逆に、同じお酒を提供するカラオケバーなどは、いきなり一軒目で行くことは稀で、基本的にはどこかで食事をしたりお酒を飲んで、二軒目以降で行くことが一般的なため、競合関係にはなりにくかったりします。

むしろ、お互いのお店を紹介しあって、居酒屋で食事をしてお酒を飲んだ後にそのカラオケバーを紹介してサービス券を渡したり、逆にカラオケバーに来たお客さんでまだ居酒屋を知らない人に、一軒目のお店として居酒屋のチラシを渡してもらったりと、協力関係を作って互いにお客さんを増やすことも可能です。

このように、「誰までが競合なのか?誰は競合ではないのか?」を考えることが市場の定義の1つです。

そして、同じく競合を定義していくことで、「誰までがお客さんなのか?誰はお客さんではないのか?」も決めていきます。

同じ、お酒を飲んで食事をするというお客さんでも、高齢者向けなのか?ファミリー向けなのか?サラリーマン向けなのか?若い女性向けなのか?など、しっかりとアプローチすべき相手とそうでない相手を棲み分けていくことが重要です。

例えば、居酒屋でも年配サラリーマンと若い女性を一緒にメインのターゲットしてしまうと、お店のイメージがどっちつかずになってしまい、どちらにも受け入れられない可能性も出てきます。

また、その居酒屋を出店する地域は、昔のベッドタウンで今は引退したサラリーマンとその奥さん、つまり高齢者夫婦が多い地域なのに、若い女性をターゲットにしても圧倒的にその人数が少ない可能性もあります。

ですから、市場を定義する上で以下の5つの点を気をつける必要があります。

「市場の規模」

「市場の成長性」

「競合環境」

「自社の能力との親和性」

「既存事業とのシナジー」

これらを事前にリサーチする必要があります。

「市場の規模」については、先程の例で挙げましたように、高齢者夫婦が多い地域なのに、ほとんど住んでいない若い女性をターゲットにするのはミスマッチになる可能性が高いわけです。

「市場の成長性」については、これからその市場が盛り上がるのか衰退するのかです。

例えば、現在は高齢者夫婦が多い地域でも、翌年に大きなショッピングモールが出来て若い女性やファミリー層が頻繁に訪れることが予想されるなら、高齢者夫婦にターゲットを絞らなくても良いかもしれません。

「競合環境」も重要です。すでにその地域には同じような客層をターゲットにした居酒屋が多数存在していて、お客さんを奪い合っていて、毎年どこかが潰れて、お店がしょっちゅう替わっているような激戦区ならば、同じ客層をターゲットにするのは危険かもしれません。

「自社の能力との親和性」というのは、自社が年配者向けのノウハウを持っていたり、年配者に好まれる料理やサービスが得意なのに、無理して若い女性向けのオシャレな居酒屋を目指しても上手く行かないこともあります。

はやりビジネスですから強みを活かすことも重要です。

「既存事業とのシナジー」については、他にも事業を行っていて、例えばそれが若い女性向けのカフェだとしたら、そこで手に入れた若い女性の嗜好パターンなどのデータが居酒屋でも活かせます。

などなど、ある一面だけを見て市場を定義するのではなく、多角的な視点を市場を定義することが重要です。

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